静岡家庭裁判所 事件番号不詳 決定
少年 山田和子(仮名)
本籍 吉原市○○○○八の一
住居 ○○医療少年院在院中
職業 無職
主文
少年を○○医療少年院に継続して収容する。
但し収容期間は満二三才に達するまでを限度とする。
理由
昭和三一年九月一一日当裁判所に対し、○○医療少年院長下村泰行より少年山田和子の収容継続申請があつたがその申請の趣旨は、
少年は○○医療少年院に収容されて以来、肺結核の化学的療法を受けているが、症状は未だ不安定で時々発熱、胸痛、咳嗽、喀痰、飲食不振を訴え、殊に本年九月四日頃、数日に亘り、喀血、血痰があつたほどでその症状は体格小、栄養可、体温微熱、聴診上右、肺背面中下部呼吸音微弱X線所見上、該部に相当し肋膜炎後貼症状が認められ、殊に断層撮影にて背面より7cmの箇所に示指頭大の浸潤巣を認める。喀痰中、結核菌、鏡検培養共に陰性血沈値やや促進している。従つて当分の間安静の上、化学療法を継続していかなければならないし、その補導面についても、入院当初に比べその生活態度は漸次向上しているが安静状態が続いているため、十分な矯正教育はなされず、その性格は多分に矯正の余地があるので肺結核の治療を図り、かたわら矯正教育の実を挙げるためには今暫くの期間を必要とするというのである。
よつて裁判所は同院長下村泰行、同院法務教官林正彦等の意見少年及び保護者の供述等を考合して審理するに、
少年は昭和三〇年九月二七日当裁判所において医療少年院送致の決定を受け、○○医療少年院に収容せられたものであるが、入院以来肺結核の治療を受けているが、その症状は不安定で安静を必要とし従つてその挙動も不自由で僅かに身廻りの範囲のことしか出来ない有様である。次に医療のかたわら性格の改善に努力がそそがれこの方面は入院当初の反抗的態度が漸次改善し、素直さが認められその処遇成績は一級の上まで進級している。しかし前記症状及びその資質、性格等に鑑み、再び社会生活に適応するためには、更に心身共に治療矯正をすることが必要である。しかも、少年自身も自己の症状を理解し、引続き同院で治療を継続していくことを希望しており、また父母も家族の事情から(即ち家屋の狭隘、生活の困難少年の帰宅後家族員に対する病気の感染の憂慮等)今暫くの少年の収容を希望している。
そこで当裁判所は少年の症状、処遇成績更に家庭環境等を綜合するに少年に対しては今暫く同院で治療と補導を継続させることが必要なりと思料するので前記申請は理由あるものと認め、少年院法第一一条第四項により主文のとおり決定する。
(裁判官 相原宏)